雨贄

= 雨 =





  「嘘っ! そんな事の為に、ずっとここに来ていたの!?
   それに、今まで隠しているなんて、酷いっ!!」

  「だって、まだ貴女は高校生だし」

  「その高校生に、いきなり会った事もない許嫁と結婚しろって何!!!」

  「何も今、直ぐと言う訳ではないだろう。
   ただ、儀礼として『雨贄』の花嫁は十六歳だと言う仕来りが・・・」

  「大体、その仕来りってのも何!?
   いくら古くから続いている旧家だからって、この二十一世紀にそんなのないよっ!!!!」
   儀礼だからって、花嫁だからって、一晩、いっ、いっ一緒に寝ろってどういう事!?
   お父さんも、お母さんも、ソレで平気なの!!??」

  「大丈夫、何も怖い事はない。
   『一緒』とは言っても同じ部屋なだけだから」

  「私は、そんな事の為にここに来ていたんじゃない・・・私は、私は・・・」

  「あかね?」



  狼狽える両親を、精一杯の涙目で睨みつける。



  「お父さんも、お母さんも、大っ嫌い!!!!!」



  あかねはそのまま家を飛び出すと雨の降り頻る中、裏山へと駆け込んだ。
  ここに来る、最大の理由の場所へと。




雨贄




  山々と、荘厳な滝が齎す清廉な水の恩恵を一身に受けた村。
  その村には、繁栄の秘密があった『雨贄』と呼ばれる存在。


  その昔、十六年に一度、滝の龍神に乙女を生贄として捧げていた。
  生贄の乙女は、産まれ落ちた瞬間からその教育がなされ、その時まで大事にするのが村の仕来り。
  命を懸けで、豊饒の恵みを齎してくれるせめてもの御礼。

  だが、村長の娘が生贄になる筈だった年に悲劇が起こった。
  娘の命を惜しんだ長は、今まで身よりもなく下働きとして扱使っていた少女を
  生贄として龍神に捧げてしまったのだ。
  強大な権力を持つ長の命に、誰も逆らえなかった。

  だがその少女には、密かに将来を共に誓った男がいたのだ。
  男は嘆き哀しみ、そして呪いの言霊を吐き、自らを供物に滝壺へと身を捧げた。
  男に呪いの才があったのか、龍神がその嘆願を聞き届けたかどうか分からないが
  その後、村は今迄の恵みが嘘のように、洪水、旱魃、流行り病であっと言う間に疲弊していく。
  あれほど命の存えを願った、長の娘も病で儚くなってしまった。
 
  長は困窮し、今迄数多くの生贄の乙女を育ててきた巫女に一部の望みを懸けて御託宣を頼んだ。


  そして、巫女は告げる。
  『血の呪いは、己が血脈によって清めよ。
   嫡男を贄とし同じ血潮より十六の乙女を嫁御と選び、その儀を途絶えさせる事なく続けよ。
   儀が続く限り、呪いは呪(まじない)となり、この地を守っていくじゃろう』



  これが『雨贄』の由来。



  今となっては、それが果たして本当の事なのかどうかも分からない。
  だがその儀は脈々と受け継がれ、本家の長男が『雨贄』となり
  分家筋の出来るだけ血の薄い家系から、許嫁を選んでいた。

  そんな事は時代錯誤かもしれない、しかし豊かな山林と広大な農地を持つ
  由緒正しい本家には逆らえず、と言うか、分家かどうかも分からない程
  血の薄い一般家庭にとって見れば、驚くほどの玉の輿には違いない。


  あかねが産まれたその日、産院にロールスロイスが横付けされ
  今迄、聞いた事も見た事もない親戚が突然現れたのだ。
  系図を辿ると、確かに父親がその血筋らしい。
  突然の許嫁の申し入れに、当然両親は戸惑い出来る事なら断りたかったのだが
  本家はそれを許さず、半ば強引に聞き入れさせた。
  それは『雨贄』の年齢、その時彼は15歳。
  そしてあかねは、このご時世の晩婚化や少子化も手伝って、血族内でようやく生まれた女の子で
  当面はその予兆さえないのだ。  
  十六歳で儀を行う時は、『雨贄』は三十一歳。
  今迄、両親が話せなかったもの無理はなかった。





  
  身体に沁み込む様な五月雨が振る中、あかねは木の根が大きく削られ空洞になった洞で
  体育座りで膝を埋めていた。
   
  物心付いた時から、この村には毎年の六月半ばに来ていた。
  態々、学校に休みを取ってまで一週間ほど滞在させられて
  父の実家だと言う旧家の本家で、昔ながらの行儀見習いみたいな事をやらされていたのだ。
  只それは、あかねにとって楽しみでもあった。
  行儀見習いも、電気ガスがない中での竈での自炊も、箒での掃除も、川での洗濯も
  豊かな自然も、都会の中では決して得られない貴重な体験。
 
  そして、楽しみの最大の理由。



  「おやおや、雨に濡れた姫君は、まるで初めて会った時のちぃ姫の様だねぇ」 



  不意に掛かった声の主は、紬の着物に翡翠の長い髪を朱の紐で束ね、稲荷の面を被った長身の男。



  「狐さんっ!」


  
  あかねは何の躊躇もなく、その妖しい姿の男の胸に縋り、今迄の堰を切ったかのように泣き出した。









  一体、あれはいつの頃だっただろうか?

  小学校に上がる前、始めてこの本家に来た時。
  両親が目を離した隙に、雨の降るこの広大な森に迷い込んでしまった事があった。
  泣きじゃくり、どんなに歩いても、右も左も緑と茶色の迷路で
  偶然この洞を見付け、涙も枯れ果て座り込んでいた時に彼と出会った。



  「おやおや、こんな場所に子供とは珍しいねぇ」 



  今と全く変わらない姿に、立ち振る舞い。
  稲荷の面が奇妙とも言えなくもないが、疲弊し心寂しかった子供にとって見れば
  まさに、稲荷明神のお使いとも言えるだろう。

  それに、あかねは動物が大好きだったし
  
  彼はたどたどしい口調のあかねから、飛び飛びに事情を聞くと
  里芋の葉を傘代わりにあかねに持たせ、肩に担ぎ上げ森の出口まで案内しようと
  迷っていた時は全然気が付かなかったが、洞から森の出口はそう遠くないようだった。
  そして道中、森の恵みを沢山味わった。
  野苺、木苺、山桃、ナツグミ、山桑の実、サンカヨウの実
  どれもこれも、あかねは始めて口にするものばかり、甘かったり、ちょっと酸っぱかったり
  でも、美味しかった。
  嫌な記憶が、楽しい記憶に塗り替えられるのに時間はかからない。

  森の出口で彼は言う。



  「この事は、私とちぃ姫の内緒だよ、誰にも言ってはいけないよ」



  と小指を絡めた。
  理由は分からなかった、でも指切りした以上、あかねはその約束を守ると決めた。






  翌年、再び村を訪れたあかねは、ポシェットにお菓子を一杯詰め込んで
  一年前の記憶を頼りに、洞へと辿り着いた。
  暫く待っていると、ひょっこりと彼が姿を現す。



  「おやおや、ちぃ姫また迷子かい?」

  「ちがうの、きつねさんに、あかねのおやつをもってきたの」

  「・・・私に」

  「うん、おいしいよ」



  そう、にっこりと微笑んだ。 
 
  










  毎年、毎年、彼に会った。
  彼はこの森や自然の話をしてくれる、私はそれを興味深げに聞く。
  私は彼に会わない間の話をする、彼はそれを聞いていてくれる。

  何故、稲荷の面を被っているのか?
  何故、誰にも言ってはいけないのか?
  何故、何年もずっと姿が変わらないのか?
  何故、何時もすぐに姿を現してくれるのか?
  何故、そんなに優しくしてくれるのか?

  聞きたい事は色々あったが、聞いてしまうと彼が消えていなくなってしまうようで
  恐くて聞けなかった。

  彼と逢えるのが楽しみだった、話すのが嬉しかった。
  それが、この村に来たい最大の理由だと思っていた。
  だけど突然の許嫁の存在、結婚、花嫁、儀式。
  
  あかねは、村に来たかった本当の理由を自覚した。
 


  「私は、狐さんが好きなのっ!
   見た事も、会った事もない『雨贄』の花嫁なんて嫌っ!!」



  男は水気を佩び冷え切った少女の身体を、自分の体温で温めるように
  優しく抱締めながら、その滴る髪を撫でる。


  
  「姫君が、その様な言葉を軽々しく言うものではないよ」

  「だって、好きなんだって分かっちゃったんだもん!」

  「私は、狐狸妖怪の類で姫君を食べる為に騙しているのかもしれないよ」

  「妖怪なんていないもん!!」

  「面を外せは、二目と見られない醜男かもしれないよ」

  「そんなの全然構わないけど、狐さんが見せたくないならずっと面を被っていてもいいの!!!」

  「怠惰で、飄々として、節操なしで、碌でもない男なのだよ」  

  「そんな事ないっ!!!!・・・狐さんは、いつでも優しかった」
  
  

  新緑の瞳が、揺るぐ事無く真っ直ぐに稲荷の面を捉える。
  その奥まで見透かしてしまいそうなほど、純真で清廉な光。



  「やれやれ、なんて無垢な御霊なんだろうねぇ・・・後悔はしないかい?」

  「・・・しないもの・・・」



  目の錯覚だろうか? 稲荷の面が笑ったような気がした。
  男はあかねの視界を遮るように大きな手で覆うと、そっと囁く。



  「姫君に呪い(まじない)を掛けて上げようね」



  暗闇の中、あかねの唇に柔らかく湿った物が触れる。
  最初それが何か分からなかった、何度も角度を変えられている内に、それが唇だと分かり
  驚いた瞬間、舌の侵入を許してしまった。
  少女の困惑も何処吹く風、柔らかだが力強い舌は好き勝手に口内を流離う。
  上顎や下顎、歯茎や歯の裏まで、果ては小さく戸惑う舌を見つけ出し遠慮なく舐め絡める。
  ファーストキスなのに、いきなりそんな激しく翻弄されて
  開放されても、今自分がどんな状態になっているかも分からないほど、思考は翳んでいた。
  唯一覚えているのは、男の最後の言葉。



  「待っておいで、姫君の呪いを解けるのは私だけだよ」









  整えられた二組に白い布団、その片方にあかねは座っていた。
  風呂も何もかも済ませ、白い夜着に着替えさせらて。
  未だ降り続く雨が、どんどんと少女の心から温もりを奪い去っていく。

  
  男がいなくなった後も、あかねは最後の言葉を信じてずっと洞で待っていた。
  しかしそこに現れたのは、彼女の事を探しに来た両親と本家の人間。
  その瞬間、あかねは心を決めた。


  きゅっ!と膝の上の両手を強く握り締める。
  『雨贄』はいい年齢の大人だ、こんな子供を相手にしないだろう。
  だからこそ、今日は同じ部屋で眠るだけ、ただの儀式の一部。
  それに、現実問題として十六歳に手を出すのは、犯罪行為なのだ。
  でも、もし、最近に何かと問題になっている少女買春を好むような人物だったら。

  ここは、本家の離れの蔵の中。
  蔵の扉は重く自分一人の力では開かない、窓も小さな明り取りがたった一つ。
  きっと大声を上げても、外には聞こえにくいし、誰も助けになんか来てくれないだろう。
  大の大人の男と、非力な少女ではいとも簡単に力で捻じ伏せられる事だろう。
  
  それでも、死に物狂いで抵抗しようと
  
  それでも、穢されそうになったら

  それでも、待てそうになかったら















  ・・・舌を噛み切ってしまおうと・・・



















  カチリと閂が外れる音がし、重い扉が開かれた。
  あかねは拒絶の意思を全身で示すため、門の方向に背を向け、目をキュッと閉じる。
  背後で人の気配がしたが、少女が全く振り向こうとも身動ぎ一つしようとしないので
  何かを言いあぐねているのだろうか。
  軽い溜息と共に、何かを押さえ込んだ様な声が聞こえた。



  「少し、話をしよう」



  その思いがけず、紳士的な態度に少しだけ安堵する。
  どうやら、最悪の結末になる事だけは防げそうだと
  相手の提案にそのままの姿勢で、小さくコクンと頷く。



  「君が全然儀式の事を知らなかったのは、申し訳ないと思う。
   だが、あえてその上で訊ねようか。
   今直ぐにとは言わない、それでも『雨贄』である私と婚姻を結ぶ気はないと」



  あかねはコクンと頷く。



  「当家は、そこそこの資産家で君に苦労をかけることはないと思うが、それでも?」


  「『雨贄』は生涯、妻一人と決められているからね、私は浮気はしないよ?」


  「自分で言うのもなんだが、それなりの美丈夫だと思うのだが?」



  どんなに好条件を出されようとも、あかねの意思は揺らぐ事さえなかった。



  「・・・仕方ない・・・ね」



  『雨贄』が至極残念そうに零した言葉に、少女が思わず安堵し気を緩め肩から力が抜けた。
  そんな様子を彼は、一体どのように捉えたのだろうか?

  あかねのすぐ背後でクスリと笑う声と共に、フワリと耳元で運命の言霊が紡がれる。



  「姫君の呪いを、解く必要があるようだねぇ」

  「 ! 」



  何かで抑えた声色でなく、自然に紡がれた声は、あかねが待ちに待った音で
  驚愕に目を見開き、弾ける様に後ろを振り返る。
  そこにいたのは、紬の着物に翡翠の長い髪を朱の紐で束ね、稲荷の面
  ・・・を手に持ち、端整な顔立ちで、艶のある笑みと眼差しを向けている一人の男性。

  

  「・・・き・・・つ・・・ね・・・さ・・・ん・・・?・・・」

  「そうだよ・・・今、呪いを解いてあげるからね」 



  欣幸な笑顔で抱締められ、しっとりと唇が重ねられた。
  セカンドキスは、ファーストキスより時間をかけて、ゆっくり、じっくり、執拗に施されて。

  男がようやく満足し、濃厚な銀糸がぷつりと切れた瞬間
  あかねの極限まで張り詰めていた緊張が一遍に切れ、がくりと意識を手放した。

  
  









  「友雅さんってば、すぐ言ってくれれば良かったのにっ!」

  「あかねが正面を向いていてくれれば、すぐ私だと分かっただろうに。
   それに震えながらの後姿が、なんとも可愛らしくて『つい』ねぇ。
   狐は仔兎を狩るモノだから・・・ねv」

  

  そんな艶やかにウインクされても、あかねの気持ちは治まらない。
  こっちは『 死 』さえも、覚悟を決めていたというのにっ!



  「そっ、それに、もし私が『雨贄』の方を選んだら、どうするつもりだったんですか!」



  絶対ありえない話なのだが、余裕綽々の男を狼狽えさせたくてあえて畳み掛けた。



  「ん〜、ソレはソレで構わないよ『狐』も『雨贄』も『私』だし。
   まっそうはならないって、分かっていたけれどねぇ」  



  悪戯に凄く嬉しそうに、自信満々にそう言い切ってしまう男に怒りが沸々と湧いてくる。
  出来る事なら、噛み付くなり、叩くなりしてやりたいのだが
  山道を運転中の相手に助手席の人間が手を出す事は出来ないのだ。







  
  朝、両親が起しにきた時には、何の変化もなかった。
  自分には夜着の乱れもなく、きちんと寝かされて
  もう一組の布団も何も乱れた様子もなく、使われた形跡さえない。
  
  あの事は全て夢だったのだろうか?

  だが本家からは『儀は恙無く成就した』と、あかね達は家に帰る事を許されたのだ。


  訝しがる思いで本家の門を潜ると、昨日までの雨が嘘のように青く晴れ渡った空。
  そこにあったのは、自分達の車と・・・真っ赤なスポーツカー。

  そして、シャツにジーパンと言うラフな格好で車に寄りかかって此方に笑顔を向ける一人の男。



  「送って差し上げるよ、姫君」







  車の足回りがいいのか、友雅の運転技術がいいのか、両親の車は遙か後方を走っている。
  二人っきりの車内、あかねはチャンスとばかりに今迄の全ての疑問をぶつけた。
  
  稲荷の面と紬の着物は『雨贄』としてのいわば扮装。
  内緒にしたのは、彼の父親、つまり正式な『雨贄』がまだ存命中なのだ。
  姿が変わらないのは・・・二十代が三十代になっても、そう変化はない。
  すぐに逢えるのは至極当然、彼も次代の『雨贄』として自分の誕生日前後に呼ばれていたから。
  『雨贄』だからって村に住む必要はなく、儀式の時や本家に呼ばれた時に存在を誇示すればいい。

  そして



  「幼くして無理からに決められた、小さな許嫁を不憫に思っていたら
   着いた早々、迷子だと言うじゃないか。
   探して、見付けて、何とか無事に送り届けて・・・でも、翌年もちぃ姫は洞に来ていて。
   私の事を『優しい』と思うのは、姫君が私に『優しく』してくれるからなのだよ」

  
  
  そんな風に、衆目美麗な男にうっとりと微笑まれれば、先程までの怒りは何処へやら
  照れくさくて窓の外に視線を逸らすのが、少女にとっての精一杯。

  水が流れるように風景は過ぎ去り、段々と都会の様相を佩びてくる。
  緑の木立が、コンクリートの壁に
  その事に、一抹の寂しさを感じながらも、あかねはある事が不意に頭をよぎった。

  

  「あっ、そう言えば、友雅さん私の家の場所を知ってるんですか?」

  「勿論、姫君が何処に住んでいて、小学校から高校の場所まで
   何が好みで、何が嫌いで、趣味とか、友人関係とか・・・。
   明日は創立記念日で学校は休みだしデートしようか、水族館に行きたがっていたしね」

  「えっ? えっ?」

  

  矢継ぎ早に口から飛び出る衝撃発言の連発に、そこまで詳しく話しただろうかと
  思わず首を捻る。
  そんな幼げな様子を横目で堪能しながら、友雅は種明かしをした。


  
  「『natural』って店の常連だろう?」

  「はい、天然のアロマとか、ハーブティとか、基礎化粧品とか、小物とか
   も〜可愛いのが沢山あってv
   あっ、そこの店員さんも日本人形みたいに可愛くて、でもプロで色々アドバイスしてくれて
   欲しい商品なんかもすぐ取り寄せてくれたり・・・って、どうしてそれを?」

  「そこ、私の店なんだよ」

  「・・・えぇぇぇぇっ! 何で!? どうして!!??」

  「だって、ちぃ姫が森の植物の事を聞きたがるから
   色々調べていたら、やたらとソッチ方面に詳しくなってねぇ。
   折角ならその成果を、他の誰でもない姫君に見せたいし
   通学道路沿いの空き店舗を買い取って、君の好みそうな商品を並べてみたのだよ。
   ふふ、すぐに来てくれたのには、嬉しかったね。
   で店員、あぁ小生意気な妹なのだが、との会話が裏の事務所まで聞こえていたのでね」

  

  楽しそうに事の顛末を語る男に、最早ぐうの音も出ない。
  まるで当の昔に狐の撒き餌の罠に掛かって、今まさに狩りの終了宣言をされたようなものだ。






二の句を告げないあかねに、友雅はニヤリと口角を上げ一言。



「逃がさないからね、私の花嫁さんv」 





パラレルで『雨』にも『誕生日』にも、引っ掛けてみました。
だって六月って、梅雨時だしねw

彼の小生意気な妹は、紫の長髪のお嬢さん【年齢15上乗せ】
きっと、雨贄の魔の手から、あかねちゃんを守ってくれるでしょうw

この物語は、主催のお一人、麻桜様から貰ったバトン内の

■友雅を家族にするならどのポジション?

 年に一、二度 会う親戚、それ位の温度が丁度いいかと。
 本家とかの長男で、盆と正月だけは嫌々いさせられて
 で、そんな行事脱け出してどこか遊びにいく・・・みたいなw

から発展させて貰いました(^_^;)

っで、チョット個人的ツッコミ〜♪ 『オヤヂなギャグオチ・・・見る?後悔しない?』
→おまけの話へGO

姫君主義 / セアル 様