「まぁ、ご両親の許可も貰っているのと同じだし、あかねも十六歳なのだから 法律的には結婚は可能なのだけれどね。 姫君の好きにしていいよ、高校卒業まででも、成人するまででも 十年近くも待ったのだから、四年増えようが私の気持ちは何ら変わりはないからね」
「あっ、ありがとうゴザイマス」
「ふふ、折角の恋人同士の時間も楽しまなくちゃねぇ」
あかねにしてみれば、それはありがたい提案だった。 紙一枚の提出だろうが『結婚』の二文字は未成年にとってはかなり衝撃的なのだ。 ましてや昨日の今日まで、そんな事露にも考えていなかったのだから せめて高校卒業するまでは、とどうしても思ってしまう。
・・・恋人同士・・・
その言葉だけでも、恥かしくて顔が火照ってしまうと言うのに
「・・・え〜っと、アレ?」
「ん? どうかしたかい」
「えと、確か”『雨贄』は生涯、妻一人”って言ってましたよね」
「そうだけど、何かな?」
「えっ、あっ、いえ、なっ何でも」
チラリと視線が合った瞬間、頬を紅く染めると慌てて視線を正面に戻す。 何事かを思い出しながら考えるているようで、握り込んだ手が軽く唇に触れていた。 友雅にしてみれば、今あかねが何を考えているのか手に取るように分かってしまっていて ゆるゆると、口角が上がっていくのが止められない。 いい年をして、我ながら性質が悪いとの自覚はあるのだが そんな風に可愛らしく振舞われてしまうと、悪戯したい気持ちが抑えられない。
・・・抑える気があるかどうかさえ、疑問なのだがねぇ・・・
「私にとっても、アレがファーストキスだったよ」
「 ! 」
嘘だっ! と思わず叫びそうになった。 『上手い下手』は経験がないからわからないが、あれだけ手馴れた感があったのに!? と言うか、もし、もし、もし、もし、ソレが本当なら!?
・・・必然的に・・・
「ちなみに、新品・未使用品だよ」
「 !! 」
「あぁ、でも大丈夫、色々とその手の情報を仕入れてあるから。 君のどんな要望にも、応えて上げられる自信はあるよ」
「 !!! 」
待って、待って、待って『新品・未使用品』って、オークションの商品説明ですか!? 『その手の情報』って!!?? 『要望』ってぇ!!!???
「何なら、今晩にでも試してみるかいw」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!!!!!!」
色々と『後悔』した瞬間だった。
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