今日はごろごろデー |
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= 15.今日はごろごろデー = |
「何か楽器を弾いてください。…音楽って癒しの効果があるって聞いたから」 「なんでもいいのかい?」 友雅が尋ねると、あかねは小さく頷いた。 それを見ると、友雅は再び女房を呼び寄せ、琵琶を持ってくるように言った。 そして、持ってきてもらった琵琶を少し調弦し。 あかねをちらりと見たあと、静かに琵琶を奏ではじめた。 あかねはそんな友雅を、うっとりと眺めた。 あかねは実は友雅に想いを寄せていたのだ。 だけど、いつも本気の態度を見せてくれないから、この恋は無理かもしれないと、半ば諦めていた。 でも、今日、八葉の役目という理由だけど、こうして自分の為にいろいろと考えてくれる姿に、それはまだ保留にしてもいいのでは、と思った。 せめて、鬼との戦いが終わるまでは。 そんな事を考えながら、あかねは目をつぶると。やはり気付かずに溜まっていた疲労と、このここちよさに、いつしか眠りについてしまったのだった。 「…やれやれ」 ぐっすりと眠りこんでしまったあかねを見ながら、友雅は苦笑した。 やはりどこか無理をしていたのだろう。 友雅はあかねを抱き上げると、隣に用意してあった寝台に寝かした。 そして、絹のような滑らかな髪を撫でながら呟いた。 「あまり私を心配させないでくれまいか?」 いつの間にか自分の心に住み始めた、愛しい少女。 彼女の為なら、自分はなんでもできる。 そんな自分に戸惑う事もあるけれど、それもまたいいと思う。 「この戦いが済んだら…」 この想いを彼女に伝えよう。 それまで誰のものにもなりませんように。 そんな気持ちを込めて、友雅は額にくちづけを落としたのだった。 |
真琴のふる ふらわ〜 / 北条真琴 様 |