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チョコレート効果 ○% 〜あかね編〜

= チョコレート効果 ○% =




  『明日の放課後、マンションにおいでv』

  昨日、友雅から送られてきたメール。
  あかねは何度読み返しただろう、そして


  「は〜ぁ」


  一体、何度目の溜息だろうか。





チョコレート効果 ○% あかね編〜





  事は、冬休みの終り頃までさかのぼる。



  バレンタインまでにセーターを編む!
  それもちょっと・・・いやかなり頑張って、アランセーターを!!

  はっきり言って、初心者のあかねにその挑戦は無謀とも思えるが
  そうしなければならない理由と、出来るかもしれない訳があった。

  まず理由・・・過保護すぎる恋人から少々、いやかなり値の張る
  Xmasプレゼントを貰ってしまったから。
  それと、甘い物が苦手である事を知っているから。
  高校生である自分に高価なプレゼントは出来ない。
  だから、独占欲の強い恋人に手編みのセーターを
  そして訳・・・身近に編物が得意な人物がいたと言う事。



  チョコレート色のモヘアの毛糸で編んだ、アランセーター
  シックな色合いと柔らかな手触り、複雑な模様
  蘭の教え方がいいのか、あかねの素直で真面目な性格が幸いしたのか
  とても初心者とは思えない出来栄えに仕上がっていた。 

  その代り、チョコは既製品頼み。
  最近発売された、カカオの成分が表示されたチョコレート。
  友雅が、どの位ビターを好むか分らなかったので
  63%・72%・86%・99%のミニアソートセット、それをラッピングしなおして。



  当然の結果だが、手ずからのプレゼントに友雅の喜び様は半端ではなく
  その夜は、家に帰る事が出来なかった程だ。






  そんな前科があるのだ、あかねの溜息も当たり前と言えよう。
  もう一度軽く息を零すと、意を決してインターホンを鳴らす。


  「友雅さん」

  「待ってたよ、今開けるから」


  軽い金属音と共にドアが開き、出迎えた友雅はあのセーターを着ていた。
  

  「あっ、着てくれてるんですね」

  「ふふ、私以外の誰が着ると言うんだい。 さっ入って」

  「お邪魔します」

 
  中に入ると、何だかいい匂いが鼻腔をくすぐる。
  自分だって・・・詩紋ほどではないにしろ・・・そこそこ料理は出来る。
  こっちに帰って来てからは、今迄以上に母親について料理の腕を上げていた。
  だから、友雅の家に来た時はその腕を奮う。
  しかしまだ高校生の身分、いつも一緒にいれる訳ではない。
  冷蔵庫に食材もあるし、友雅だって自炊ぐらいはしているだろうが
  どう考えても、そんなレベルの匂いではなかった。
  
  
  「お料理していたんですか?」

  「まぁ、ちょっとねぇ・・・こっちにいいかい」

 
  意味深な笑みで、はぐらかす様にリビングへ通されると
  テーブルの上の、大きな紙袋が目に付いた。
  

  「これ?」

  「中に服が入っているから、着替えてくれる?」

  「えっ!?」

  「だって、制服のままって訳にもいかないだろう?」

  「友雅さんが『放課後においで』って言うから
   ・・・だったら、一度帰って着替えてきたのに・・・」

 
  ニコニコと笑顔を絶やさない表情を見て、『しまった』と思う。
  これも友雅の罠で、こうやって断れない状況を作っていくのだ。

  まぁ、そうするのが性質の悪い大人の楽しみでもあり
  そうせざるを得ないのは、素直に受け取らない可愛い少女の所為でもある。


  「ん、手伝ってあげようか?」

  「! 分りましたから、出て行って下さいっ!!」

  「おや、残念だねぇ」


  これ以上、この場にいられると何されるか分ったモンじゃない!
  あかねは慌てて、友雅をリビングから追い出した。





  暫くしてリビングから出てきたあかねは、淡い生成りのコットンワンピを着ていた。
  2WAYタイプで、いま着ているパフスリーのボレロを取ればキャミワンピになり
  フロントセンターにはシフォンを使った、シンプルながら可愛らしいデザインのもの。


  「うん、やはり可愛いよ、
   ショーウインドーで見掛けた時から、白雪に似合うと思ってねぇ。
   ホワイトデーのプレゼントに貰ってくれるね」

  「・・・Xmasにカクテルドレスなんて貰ったから、頑張って編んだのに
   今日、こんな服貰ったら意味ないじゃないですか・・・」

  「そう? 君のセーターに比べれば足元も及ばないと思うけれど」

 
  あかねは暫く考えて諦めたように一度肩を落すと、素直に微笑んだ。

  
  「有難うございます友雅さん、大事にしますね」

  「ふふ、その微笑が何よりの報酬だね。
   じゃっ、もう一つのプレゼントも貰ってもらおうかな」

  「はっ?」


  背に手を添えられ、ダイニングに入る。
  テーブルの上にセッティングされている料理に、思わず目を見張った。
  そこには、フランス料理のフルコースが並べられてあったのだ。


  「とっ友雅さん、コレどうしたんですか!?」

  「出張サービスがあるのだよ。
   外に食事に行くには、その格好はまだ寒いからね。
   春用のコートをプレゼントしても良かったのだけど・・・ホラホラそんな目で睨まないw
   だから、作ってもらったのさ」

  「もーっ! どうして、こーゆー事するんですか!?」

  「君は真面目すぎるからね。
   こんなイベントでもないと、プレゼントなんて受け取ってもらえないし
   気にする事はないよ、チョコレートのお返しさ」

 
  過保護と言うか、甘やかし過ぎと言うか、市販のチョコのお返しがコレ。


  「さっ、冷めない内に食べようか」


  しかし、余りの友雅の嬉しそうな顔に最早何も言えない状態。
  
  若干の文句と言うか・・・不満と言うか・・・わがたまりはあったが
  流石にプロの料理人が作っただけあって、味は至極満足いくもので
  自然と笑顔になり、舌鼓を打った。
 
 
  「ご馳走様でした〜美味しかったですv」

  「ふふふ、ソレは何より。
   さて、食後はデザートの出番かな?」


  友雅に手を取られ、キッチンの方に移動していく。
  キッチンは対面式のカウンターも兼ねている造りだ。
  ほんの少し照明を落した感じが、見慣れたキッチンをムードあるものにし
  まるで本物のバーに来た様な雰囲気に、なんだかドキドキする。

  カウンターチェアーに座らせられると
  友雅は、用意してあったグラスとツールを取り出し
  目の前でカクテルを作り始めた。
  
  カクテルグラスに ストロベリーアイスとマシュマロを盛り付けて
  パッソアと生クリームを合わせてビルド、ココアパウダーを振り掛けた。


  「はい『マシュマロ・ストロベリー』だよ。
   ホワイトデーには、ピッタリなカクテルだろう」

  「えっ!こういうのもカクテルなんですか?
   可愛い、普通のデザートみたい」

  「でも、アルコール度数はあるよ・・・まぁ、ビール程度だけどね」


  アルコールと言われ少々ためらったが、思い切って一口食べてみた。    
  甘い口当たりにトロピカルな風味
  カクテルと言われてても、アルコールなど全然分らない。

  
  「美味しいv 友雅さん凄い、カクテルなんて作れるんですね」

  「ふふふ、まだいくつか作ってあげようか?」

  「わぁ、本当ですか」


  次々と、可愛らしいデザートカクテルが並べられた。

  チョコアイスとベリーリキュールと生クリームの『永遠の愛』
  ストロベリーアイスとコアントローショコラの『SWEET LOVE』
  ブラウニーとコアントロー、ベリーアイスの『ストロベリー・チョコレート』

  名前がどうよwとは思ったが、どれもコレも美味しかった。

  友雅はあかねの食べる様子を満足げに見ているが
  それが気の毒に思えて仕方が無い。
  彼がお酒を嗜むのは知っている。
  それなのに今日は、自分ばかりに作ってくれているのだ。

  
  「・・・友雅さんは飲まないんですか?」

  「私もかい?」

  「一人で食べてもつまらないですもの」

  「そうだねぇ・・・折角、白雪がいるしねぇ」

  「?」
  
  
  いぶ傾げるあかねに、友雅は意味深な笑顔を零す。

  ジンとコアントローとレモンジュースをシェイカーに入れて軽く振る。
  グラスに注がれたカクテルは、真っ白でフルーティな香りがした。


  「・・・綺麗・・・友雅さん、少し飲んでみてもいいですか?」

  「構わないけど・・・多分・・・」


  言い終わらないうちに、あかねはそのカクテルに口を付け
  思いっきり顔をしかめる。


  「辛〜いっ!!!!!!!!!!!!」

  
  予想通りの反応に、友雅は肩を震わして笑った。


  「それはそうさ、ジンベースのカクテルだもの。
   アルコール度数も30%ぐらいはあるしねぇ。
   でも私にはコレくらいが丁度いい・・・いや少し甘いぐらいかな?
   名前の通り、甘く、心地よく酔わしてくれるのだよ」

  「名前?」

  「『ホワイト・レディ』・・・白雪、君の名の通りにね」 


  クイっと一口でカクテルを飲干すと、そっとあかねの手を取りキスを落す。
  その様子は、あきらかに艶を煽るもので
  咄嗟に手を引こうとしたが、その前に友雅に抱締められてしまった。
  まずい体勢から何とか逃れようと、懸命に抵抗を試みる。


  「とっ友雅さん、もうこんな時間だし、私帰らなきゃ」

  「少し酔いを醒ましていきなさい。
   いくら一つのアルコール度数が低くても、アレだけ食べたら
   気が付かなくても酔ってる筈だよ」

  「!」

  「それに私も飲んでしまったから、車で送ってあげられないし」

  「!!」
  
  「あぁ、自宅の方にはちゃんと電話を入れてあるから心配ないよ」

  「!!!」  
  
 
  上目遣いで軽く睨む、あかね。
  頬が紅潮しているのは、アルコールの所為だろうか?
  コレだけ罠を仕掛けられると、逃げ道など存在しない。
  この後に起こるであろう事にゾクッと躰が震えるのが分った。

  友雅はあかねをお姫様抱っこにすると、息が掛かりそうなほど顔を近づける。


  「何か、ご質問は白雪?」

  「・・・・・・・・・・・・友雅さんのバカ」  

  「褒め言葉だと受け取っておくよ」


  艶やかに微笑むと、唇を重ねられた。
  口内を貪り、深く激しく舌を絡ませてくる。

  友雅の唇は、フルーティーだが辛いカクテルの味がした。
  しかし、だんだん甘く感じる様に





  深いキスで朦朧となっていると、背中にベッドの感触。
  ゆっくりと覆い被さられながら、もう一度キス。
  柔らかなワンピースの生地の上から胸を軽く揉みしだかれ
  反対の手は、ゆっくりスカートを捲り上げ、内太股を撫でられた。

  
  「んんっ!」


  口が塞がれ舌を絡められているので、くぐもった吐息のみが微かに漏れる。
  だんだんと、スカートの中の手が上にあがっていき
  っつと下着の中に指が入ってきた。
  既に潤い始めているのが、軽く触れられただけで分る。


  「ふふ、キスだけで感じた?」

  「っ! 意地悪っ!!」

  「おやおや、私の所為かい? あかねが可愛いのがイケナイのだよ。
   あぁでも今日はホワイトデー、男が尽くす日だものねぇ。
   『申し訳ございません姫様、今すぐお慰めいたしますので』」

  
  芝居がかった口調で、わざとらしくそう言って
  ワンピースを脱がしていく・・・勿論、下着も全部。 

  手と舌で全身を丁重に隈なく愛撫される。  
  優しく揉みしだかれ、撫で擦られれば、否が応にも官能の波が湧き上がってくる。
  それも当然、友雅がそういう風に無垢のあかねを自分好みに仕込んだのだから。 

  ただ、今日はそれ以上の事をしようとしてこない。
  いつもなら、これだけ下準備が出来ると更に快楽の境地に煽ってくるのに?
  荒い息を吐きながらも、不思議そうに目で訴えてみると
  友雅は涼しい顔で応えた。


  「何かな姫君? 私は馬鹿で意地悪らしいからねぇ。
   一体姫君が何を望んでいるのか・・・言ってくれないと分らないのだよ」

  「!」

 
  瞬間、カァッ!っと頭に血が上る。
  唯でさえ恥しい状況で、要は『おねだり』しろと言ったのだ。
  普通の状況なら、まだ文句の一つも言えたかもしれない。
  もっと以前の自分なら、逃げる事も出来たかもしれない。

  だがアルコールも手伝い、それらの選択肢は既に頭の中に存在していなかった。
  あるのは『恥しい』と『もどかしい』のみ。

  『もどかしさ』を克服するには『恥しさ』を乗り越えなければならず
  しかし、自分からおねだりするなんて『恥しい』所の騒ぎじゃない。
  流石にそこまで、行為に対して慣れている訳ではないのだ。


  「ねぇ、あかね、どうして欲しい?」

  
  耳朶を執拗に舐められながら、擦れた声で意地悪げに囁く。
  まさにそれは、悪魔の誘惑。
  『一言』言ってしまえば、少なくともこの『もどかしさ』は解消される・・・だが
  あかねは咽まで出掛かっている言葉を、くっと唇を固く閉じて耐えた。

  しかし、その様子も目の前の男を調子付かせるだけだと気が付いていない。
  メインディッシュを美味しく頂く為の調味料にしかならないのだ。
  くっ咽で笑うと、ほんの少しだけ強めに刺激する。

  
  「! やっ、あぁぁぁっ!」


  一度口が開いてしまうと、もう嬌声は抑えられない。
  甘い悪戯は止まらず、やわやわと理性が駆逐される。
  散々覚えこまされた強い刺激が来ない事に、躰の方が熱を持て余していく。
  

  「ねぇ、教えて?」


  もう限界だった、それでも最後の理性で言葉を紡ぐ。
  一度で済む様に、これ以上恥しい言葉を言わなくていい様に
  諸刃の剣である言葉を


  「あっ・・・・・・・友雅さん・・・を・・・下さい・・・
   ・・・と・・・もま・・・さ・・・さんの・・・・・好き・・・に・・・して・・・下さ・・・い・・・・」

  「っ!」


  瞬間、悪戯の手の動きが止まった。
  背筋に粟肌が立ちそうな程、友雅の貌が妖艶な深い笑みに染まる。


  「仰せのままに」
















  あかねは、まどろみの中から意識を引き戻した。
  まだ覚めやらぬ眼でぼんやりしていると、頬にヒヤリとする物が触る。

 
  「?」

  「あかね、大丈夫かい?」

  「・・・・・・・・・大丈夫ですよ」

  
  いつもよりも激しすぎて、あまり大丈夫ではなかったが 
  憂慮を孕んだ、その視線に思わず無意識に答えていた。

  友雅もあかねが無理をしているのが分るのだろう、背中に手を添えると
  優しく抱き起こし、グラスに入っていた黄色の飲物を飲ませた。

  フルーツの香りと酸味のあるすっきりとした味が、意識を覚醒させていく。


  「・・・美味しい、コレもカクテルですか?」

  「大丈夫、ノンアルコールだから・・・今の私の願いだよ」

  「友雅さんの?」



友雅は微苦笑すると、そっとあかねを抱締めた。

「『シンデレラ』・・・12時を過ぎても、帰らないでおくれ」  


自分が出した御題は、責任持って消化させて頂きます!〜これにて終了w

何気に「Rougeの贈り物」続・友雅編の続き
もうコレ、現代版シリーズでいくかぁ(^_^;)

アランセーターもカクテルも私の大好きな漫画家さんの漫画を参考v
元々アランセーターの複雑な模様って、船乗りの為のセーターで
・・・水死体になった時、身元が分る為の家紋 Σ( ̄ロ ̄lll)
みたいな物だそうで・・・わ〜い、ブラック〜ゥw(←喜ぶなっ!

カクテルも、全部実在v
白雪『スノーホワイト』ってカクテルがあるんですが
度数低いし、甘いし、乳酸飲料が入るんで・・・ヤツ向きではないなぁと
私個人はウオッカベースの『ソルティー・ドック』『スクリュー・ドライバー』
あと、店オリジナルの妖しい名前のヤツとかが好き(^^♪

99%のチョコレート、アノ苦味が大好きですv
姫君主義 / セアル 様