飼い主とペット

= 飼い主とペット =





  あかねは洗濯物をたたみ終えると、クローゼットを開けた。



  「えっとコレはココにしまって、コレはあっち・・・ん、あれ?」



  奥の隅っこに、見覚えのない紙袋が


  
  「?、何だろうコレ・・・あっ!」



  ソレは、依然見かけた服だった・・・いや、服と言っていいか妖しい物だが。




飼いとペット




  「おや、どうしたんだい?」



  ソコに風呂上がりの友雅が顔を出した。
  濡れた髪をタオルで拭きながら、上半身裸で下のみパジャマ着用。
  唯でさえ、無駄にフェロモンを公害のように垂れ流している男なのだ。
  そんな格好やめてくださいっ!と何度叱られたものか、が一向に改める気配はない。
  というより、幼妻の反応が可愛らしいので喜んでやっている節が見え見えだ。  

  ・・・結婚一年が過ぎても、新婚気分が未だ健在なのだから末恐ろしい。
    まぁ、それは双方共に言える事なのだが・・・

  だが、今日はちょっと反応が違う。
  一瞬こちらを見て、その事を言いそうになったのだが、改めて紙袋の中身を見せる。
  
  

  「もぉ、何時までこんな物を取って置くんですか」

  「え〜だって、あかねが着てくれないから・・・着てくれる?」

  「絶対、嫌ですっ!」



  軽く唇を突き出し、拗ねて甘えた様に問い掛けてみたのに
  つれないきっぱりとした拒絶に、チッ!と友雅は心の中で舌打ちする。

  あかねが手に持っている物、それは去年のハロウイン衣装『黒猫スーツ』
  猫耳カチューシャに、尻尾付きのマイクロミニのニットチューブワンピに
  ロングの手袋と、太ももまでのストッキング。

  コスプレするのが嫌な訳じゃない・・・それなりに楽しいし。

  ただ、チューブワンピが問題なのだ、余りにも丈が短すぎる!
  それにニットなので伸縮性がよく、体にぴったりフィットする。
  って事は体のラインがモロ分かりで、いくら何でもソレは恥かしすぎる。



  「折角買ったのに一度も着てもらえないなんで、服が可哀想だよ。
   だから・・・ねv」

  「・・・じゃぁ、友雅さんが着てあげればいいじゃないですか」

  「へっ!?」

  「ウン、そうしましょう!
   ニットだから伸びるし、友雅さんにも着れますよ〜♪」

  

  満面の笑顔でチューブワンピを手に、ジリジリとにじり寄って来る、あかね。
  コレではいつもと立場が違うじゃないか!と思いながらも
  引き攣った笑顔で後退する、友雅。



  「いや、私は女装癖はないしっ!」

  「大丈夫、美人さんだからきっと似合いますよ〜ぉv」

  「ちょっ、あかね止めなさいっ!!」

  「問題ないw」


    
  トンと壁に背が当たり、ほんの少し視線が逸れた瞬間
  あかねは一気に友雅に詰め寄ると、チューブワンピを被せ、カチューシャを嵌めた。
  この際、手袋とストッキングは無視する事にする。

  一瞬の静寂の後



  「プッ! アハハハハハッ、友雅さん似合うv可愛いvv
   にゃんこだ、にゃんこvvv」



  上半身裸と身の丈も幸いし、チューブはワンピース丈にならず腰上まで
  ウエーブの髪が上手い具合にカチューシャを隠し、猫耳だけが見えた状態。
  まるで本物の獣人の様だ。

  お腹を抱えて笑う幼妻と、姿見に映る自分の姿を交互に見る。 
  友雅は、暫く何事かを考えニヤリと口角を上げると
  ペタンとその場にしゃがみ込み、四つん這いになった。

  
  
  「にゃぁ〜」



  と、一鳴き。
  そして、あかねの足に纏わり付く様に顔や体を摺り寄せる。
  まるで本物の猫の様に



  「とっ、友雅さん!?」

  「にゃぁん」



  あかねの戸惑いの問い掛けにも、返ってくるのは猫の返事。
  下から見上げながら嬉しそうに目を細め、膝を割るように鼻を摺り寄せる。



  「!」



  その意図を読んだあかねは、慌ててスカートの裾を押さえながら、
  縋る大きな猫と化した友雅を払い後退する。
  
  一瞬にして立場逆転。



  「友雅さん、もういいですから」

  「にゃぁ」

  「ねっ、大の大人が猫の真似なんで恥かしいですよ」

  「みぃ〜」

  

  艶やか過ぎる笑顔を零しながら、四つん這いで迫ってくる友雅。
  体制がいつもと違う所為か、本当に獣に襲われてるみたいな感覚に
  そういえば、友雅さんって白虎だったんだよねぇ、と気を抜いた時
  ベッドの端に膝裏をぶつけ、そのまま座り込んでしまった。
  友雅は、跳ねあがったあかねの素足を掴まえる。  
 


  「にゃんv」



  嬉しそうに鳴きながら、その足をペロンと舐める。






  妖しげに、悩ましげに、艶やかに、厭らしげに、なまめかしく


  上目使いに、視線を絡ませたままで






  ズクン!と一瞬にして、あかねの官能の焔に火が燈る。
  こうなってしまっては、ソレを鎮められる人物と方法は、唯一つ。



  
  朱に染まってしまった自分が恥かしくて、咄嗟に顔を逸らすと
  その隙を見逃さず、獣は獲物をベッドに押し倒した。
  両手を押さえつけ組敷いて、見せ付ける様にペロリと自分の唇を舐める。

  赤い舌が恐ろしく扇情的で、思わず叫んでいた。



  「とっ友雅さんの、ケダモノ〜〜〜〜〜〜っ!」

  「ふふふ、私をケダモノにしたのは、あかねだろう?
   飼い主ならペットの面倒をちゃんと最後まで見ないとねぇ。
   まずは、美味しい餌を頂こうか・・・にゃ♪」




教訓

ペットを飼う時は計画的に、可愛いからといって勢いで飼ってはいけません!
最後まで面倒を見る覚悟でっ!!
・・・でないと、イタイ目に遭っちゃいます。 by あかね





「友雅祭 Situation Love 2007」出品作品  御題「飼い主とペット」


バカ夫婦、三度
何気に【2006 秋の宴】「へんてこ仮装なあなたに夢中」の続き〜w

本音、あのイラストが描きたかっただけです。
某PCゲームで同じシチュがあって…これ友雅氏にさせたい…と
どうやら私は、女性の足フェチらしいです(^^ゞ
線の細い、綺麗な女性の足ってイイよねv

最初は、いつもの様に漫画にしようかと思ったのですが
友雅氏の上半身裸なんて描けないので、小説で


このバカ夫婦「友雅祭」シリーズにしよぉっと♪(大迷惑

姫君主義 / セアル 様